「CBDオイルを使ったら、飛蚊症が改善したように感じた」。
これは、私自身がCBDについて考えるようになったきっかけの一つです。
もちろん、私自身の体験だけで「CBDが飛蚊症を治した」と医学的に断定することはできません。
それでも、自分の身体に起こった変化をきっかけに、「CBDとは一体何なのだろう」と考えるようになりました。
そして調べていく中で出会ったのが、医師であり研究者でもある木下翔太郎さんです。
木下さんは2022年に、国立保健医療科学院の『保健医療科学』で「我が国における大麻草由来の成分を用いた製品の適正な普及に向けた課題」という論文を発表しています。
この論文はCBDに焦点を当て、大麻由来成分を日本の社会や医療の中でどのように適切に扱っていくのかを考えたものです。
この記事では、木下さんの研究を手がかりに、CBDの可能性と注意点について考えてみたいと思います。
CBDとは一体どんなものなのか

CBDとは、Cannabidiolという大麻草に含まれる成分の一つです。
大麻草にはさまざまな成分が含まれており、その中でもよく知られているものにCBDとTHCがあります。
ここで大切なのは、CBDとTHCを同じものとして考えないことです。
THCには精神作用がありますが、CBDはTHCとは異なる性質を持っています。
そのため、「大麻」という一つの言葉だけでCBDまで一括りにしてしまうと、本来の科学的な議論ができなくなります。
木下さんの論文でも、カンナビノイド医薬品、ヘンプ由来CBD製品、大麻草由来製品などを区別して考えることの重要性が示されています。
これはCBDについて考えるときの最初の大切なポイントです。
CBDは「大麻そのもの」と同じではない

CBDについて調べていると、「CBDは大麻だから危険なのではないか」と考える人もいると思います。
反対に、「CBDは大麻由来だから、さまざまな病気に効果がある」と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、どちらも少し単純化しすぎています。
CBDという成分について考えるなら、どの成分なのか、どのくらい含まれているのか、どのような製品なのか、何を目的として使用するのかを分けて考える必要があります。
木下さんがCBDをテーマにした論文を書いていること自体も、大麻由来成分について一律に考えるのではなく、医学的な可能性と安全性を含めて整理する必要があることを示しています。
私がCBDに興味を持った理由は飛蚊症だった

私自身はCBDオイルを使った経験があります。
アメリカから輸入したCBDオイルを利用したところ、以前気になっていた飛蚊症が改善したように感じました。
これは私にとっては、とても印象に残る体験でした。
「もしかしたらCBDには身体に何か作用する力があるのではないか」と考えるきっかけになったからです。
ただし、ここには大切な線引きがあります。
私の体験が、そのまま医学的な証明になるわけではありません。
飛蚊症は、加齢などによる硝子体の変化や後部硝子体剥離によって起こることが多い一方、網膜裂孔や網膜剥離などが原因になることもあります。
そのため、飛蚊症が急に増えたり、光が見えたり、視野が欠けたりする場合には、CBDを試すことよりも眼科で原因を確認することが大切です。
だから私は、「CBDで飛蚊症が治った」と言うのではなく、「CBDを使ったことで、自分では改善したように感じた」と考えています。
この違いを大切にすることが、CBDを正しく考えるために必要なのだと思います。
木下翔太郎はCBDをどう考えているのか

木下さんの研究で興味深いのは、「CBDは良い」「CBDは悪い」という単純な結論を出していないところです。
木下さんが論文のタイトルに掲げているのは、「大麻草由来の成分を用いた製品の適正な普及に向けた課題」という言葉です。
つまり、重要なのは普及させるか、禁止するかという二択だけではありません。
問題は、
「どのような製品なのか」
「どのような成分が入っているのか」
「どのような効果が期待されるのか」
「どのような危険性があるのか」
「どのようなルールのもとで使うのか」
ということです。
私は、この考え方がCBDを考えるうえで非常に大切だと思います。
CBDには「可能性」と「分からないこと」の両方がある

CBDについては、さまざまな健康効果をうたう情報があります。
しかし、すべての病気についてCBDの効果が医学的に確認されているわけではありません。
ここを曖昧にすると、「CBDですべての病気が治る」という誤解につながってしまいます。
一方で、まだ研究が十分ではないことと、将来性がないことも同じではありません。
医学では、研究によって少しずつ「分かっていること」が増えていきます。
だからこそ、CBDについても「効く」「効かない」とすぐに結論を出すのではなく、病気や症状ごとに研究結果を見る必要があります。
CBDなら何でも安全というわけではない

CBDについて考えるとき、もう一つ重要なのが製品そのものの安全性です。
現在の日本では、CBD製品などに含まれるΔ9-THCについて残留限度値が定められています。
油脂や粉末、水溶液、その他の製品で、それぞれ異なる基準が設定されています。
これは、CBDという名前が付いていれば何でも自由に使えるという意味ではありません。
実際に厚生労働省は、2025年12月に残留限度値を超えるΔ9-THCが検出されたCBD製品について注意喚起しています。
さらに2026年4月にも、残留限度値を超えるΔ9-THCが検出された製品について注意喚起が行われています。
つまり、CBDを考えるときには、「CBDという成分」だけでなく、「その製品が本当に何を含んでいるのか」という視点も欠かせません。
海外から輸入したCBDだから安心とは限らない

私自身もアメリカからCBDオイルを輸入して利用しました。
しかし、「アメリカ製だから大丈夫」と単純に考えることもできません。
重要なのは、どこの国で作られたかだけではなく、その製品が日本の現在の規制に適合しているかどうかです。
現在の日本では、大麻由来製品についてΔ9-THCの残留限度値が設けられており、基準を超えれば麻薬規制の対象になります。
厚生労働省も、CBD関連製品を輸入する人に向けて、現在の制度に基づいた確認手続きを案内しています。
だからこそ、過去に購入できた製品だから現在も問題ないとは限りません。
CBDを利用する場合には、その時点の日本の法律と製品の成分を確認することが重要です。
「CBDで病気が治る」と考えてはいけないのか

私は、そうではないと思います。
「治りたい」と願うことそのものは、とても自然なことだからです。
病気になった人が、「少しでも良くなりたい」と願うことは悪いことではありません。
CBDに希望を感じる人がいても、その気持ちまで否定する必要はないと思います。
ただし、「希望を持つこと」と「医学的に効果が証明されていること」は別です。
ここを分けて考えることが大切です。
CBDに期待する気持ちを持ちながら、必要な診察や治療も受ける。
その両方を大切にすることが、私は現実的な向き合い方だと思います。
病気を治したいという願いを、科学と一緒に持っていく

これまで私は、病気について書くときに「氣・技・體」という考え方を大切にしてきました。
氣は心や意識や希望です。
技は医療や治療方法です。
體は身体そのものです。
CBDについても、これと同じように考えることができると思います。
「CBDを使えば大丈夫」と考えるのではなく、自分の身体を知り、必要な診察を受け、医学的に分かっていることを知り、そのうえで自分の希望を持つ。
それが、病気と向き合うときの一つの姿勢ではないでしょうか。
木下翔太郎が教えてくれるのは「正しく知る」ということ

木下さんは現在、CBDだけを研究しているわけではありません。
慶應義塾大学医学部の研究者情報を見ると、現在の研究テーマはオンライン診療、精神科医療、AI、デジタル技術、医療制度など非常に幅広いものになっています。
その中で2022年にCBDについて論文を書いています。
また、2024年には『大麻の新常識』の中で、政府の「骨太の方針」に記載された大麻について執筆しています。
こうした活動を見ると、木下さんを単純に「大麻を推奨する学者」と呼ぶよりも、新しい医療や大麻由来成分を、医学と社会制度の両面から考えている医師・研究者と捉えるほうが正確です。
私はここに、木下さんから学べる大切な姿勢があると思います。
それは、「信じるか、信じないか」ではなく、「まず正しく知ってみる」という姿勢です。
CBDをめぐる未来は、まだ始まったばかりなのかもしれない

日本では2024年12月から、大麻の不正な施用について麻薬及び向精神薬取締法の規制が適用されるようになりました。
同時に、大麻草由来製品についてはΔ9-THCの残留限度値が設定され、医療や研究の領域では新しい制度も動き始めています。
これは、大麻由来成分をめぐる日本の環境が大きく変わっていることを意味します。
これから医学研究が進めば、CBDについて今より明らかになることもあるでしょう。
逆に、現在期待されている効果の中には、研究が進むことで見直されるものもあるかもしれません。
だからこそ、今の段階では「CBDは万能薬」と考える必要もありません。
同時に、「大麻由来だからすべて危険」と決めつける必要もないのです。
私がCBDから感じたのは「希望を持ちながら、確かめる」ということ

私自身は、CBDオイルを使って飛蚊症が改善したように感じました。
その体験は、私にとって大切な体験です。
しかし、それを医学的な証明だとは考えていません。
むしろ、その体験があったからこそ、「なぜ変化したのだろう」と調べるようになりました。
そして調べていくと、CBDには研究されていることもあれば、まだ分からないこともあることが見えてきました。
木下翔太郎さんの研究から学べるのも、まさにこの姿勢なのだと思います。
希望を持っていい。
でも、希望だけで結論を決めない。
科学を知る。
身体を知る。
医療を知る。
そして、自分自身の体験も大切にする。
そのすべてを合わせながら、自分の未来を考えていく。
CBDについて考えることは、もしかすると「大麻は良いのか悪いのか」という話だけではないのかもしれません。
それは、自分の身体と未来について、私たち一人ひとりがどう向き合うのかを考えることでもあるのだと思います。
第2弾では日本と大麻の関りについて深掘りしてみたいと思います。
第2弾:なぜ日本では大麻が禁止されたのか?日本人と大麻の歴史を深掘り
CBDは病気に役立つのか?木下翔太郎に学ぶ、CBDの可能性と正しい向き合い方
竹布とは何なのか?竹から生まれたやさしい繊維に学ぶ、身体と心をいたわる生き方
アロエベラは本当に病気にいいのか?アロエとの違いから、専門家が研究してきた自然の力を深掘りする
「奇跡の水」は本当に病気を治すのか?世界と日本の奇跡の水を科学と伝説から徹底検証
覗いてやってください、よろしく
色々な考察シリーズ
覗いてやってください、よろしく
第1弾まとめ
CBDには、医学的に研究されている可能性があります。
一方で、すべての病気に効果が確認されているわけではありません。
CBDとTHCは異なる成分であり、大麻草由来製品を一括りにして考えることはできません。
日本ではCBD製品に含まれるΔ9-THCについて残留限度値が設けられており、実際に基準を超える製品について厚生労働省が注意喚起しています。
私自身の飛蚊症の改善体験も、CBDの医学的効果を証明するものではありません。
それでも、その体験をきっかけにCBDについて学び、何が分かっていて何が分かっていないのかを知ることには意味があります。
木下翔太郎さんの研究から私が学んだのは、CBDを信じるか否定するかではなく、可能性とリスクの両方を知ったうえで、適切に向き合うことの大切さです。
病気になったとき、希望を持ってはいけない理由はありません。
「良くなりたい」と願ってもいいのです。
そして、その願いを医学的な知識や適切な治療と一緒に、未来へ持っていけばいいのだと思います。

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